映画:『日々是好日』を観て
今日は先週の日曜日と同様、福岡市のとあるお寺の掃除で8時間ほどしていました。
先週の掃除の内容とほとんど同じなので、これは割愛しても構わないでしょう。むしろ、茶会の掃除後に観に行った映画のほうが発信・記録する価値があると思うので、今日はそちらをメインに書きたいと思います。
なお、今回観に行った劇場は天神の北の方にあるKBCシネマという所。昔から営業してきたような趣があります。劇場内は暗く、すぐに電源を消してしまったので写真はありません。が、劇場の入り口には下の写真のような記載が書かれていました。立ち見席が未だ存在していたようですね。
座席は下の写真のようになっています。前後のピッチにゆとりがありました。
日々是好日という映画:
内容
映画のお題は、大学生になって茶道を始めた典子という女子大生の人生を描いたもの、といえば差し支えないでしょうか。僕自身も茶道を大学で始めているので、習い始めたばかりの主人公にはかなり共感できました。その後、主人公の典子は茶道の手前や行事を学んでいきます。濃茶を習い始めるあたりから僕自身も知らない領域に入ってしまったのですが、今後自分は茶道部の中でこのようなことを学ぶのだと思い、参考のために集中して観ていました。
今回の映画で紹介された茶道は表千家と言って、僕が大学の部活でやっている裏千家とは所作の一部が異なるところがあります。しかし、お茶を点てる手順、道具の扱いについては裏千家と通底していました。
劇中で主人公の典子は茶道と関わった後、自らの人生の進路や恋愛、家族において様々な岐路に立たされます。そこで茶道がどのように典子に影響を与えるのか、これが映画の魅力の一つであると言えるでしょう。
構成
映画の内容ではなく、映画の構成についていくつか思ったことがありました。
映画の冒頭で典子のいとこが「東京に上京する」というフレーズ出てきます。しかし、映画に出てくるシーンを観ると、どれも神奈川県なのです。相鉄や江ノ電といった東京では走っていない電車が出てきていました。(完全に余談ですが、映画に出てくる電車の形式を意図的に古い形式に絞ることで、映画冒頭の90年代の世界観が維持されていたと感じました。この点についてはよく練られた映画だと思いました。)
次に全体的に背景をかなり強めにぼかした映像が多用されていたと思いました。これはもちろん登場人物に観客の視線を集中させたいからだとは思いますが、あまりにも使われすぎていてかえって映画の映像が現実とかけ離れてしまっているなと感じました。
最後にこの映画は茶道の入門者から中級者に共感されやすいように作られていると思いました。茶道を習い始めて最初に習うこと、2ヶ月後に習うこと、4ヶ月後に習うこと・・・等とどの段階の人にも茶道がわかりやすくかつ手短に解説されていました。
感想
主人公の典子が茶道と「日々是好日」という言葉に出会ってから、彼女が季節の移ろいに五感を澄ませていく描写に大きな感動を覚えました。茶道が季節の変化を楽しむ(ないし季節に合わせて変化する)ことを改めて確認することが出来ました。
逆に残念な点を挙げるとすれば、典子さんの人生の中途半端さが劇中で目立ったことでしょう。どうも典子さんの人生が順風満帆、というかあまり幸せな人生を送っていなさそうな気がしました。日々是好日という言葉が与える考え方を否定するつもりはありませんが、典子さんはこの言葉にとらわれてしまうと、茶道しか生きがいがなくなってしまいそうで少し心配です。
さいごに
そういえばこの映画に出演された樹木希林さんはつい最近亡くなられたそうですね。それを知りながらこの映画を観ると感慨深いものがありますが、多くを語れるほど僕はこの方について存じ上げないので、本題でこの人のことは書きませんでした。
それでは。
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