末弘厳太郎 『嘘の効用』を読んで
一週間でまた一冊本を読み終えました。今回読んだ本は『嘘の効用』(日本評論社)という本。
(背景の違いでお気づきかもしれませんが、今回はいつもとは違う場所で撮影しました。)
新装版は出版されていますが、僕が手にしたのは昭和四十三年に出版された本のようですね。
内容と感想
元からこの本に対して抱いていた先入観として、役人のものの考え方を書いたものなのだろうなという印象を持っていたのですが、読書後この本は主に裁判官としての心得を書いているように思いました。特に最初の四つのチャプターでは、ある事件・裁判において法律をいかに適用していくべきかが分かりやすく述べられていました。
またもう一つの印象としては、大正時代の法律家の人がみる明治自体というものがこの本の中でははっきりと現れているように思えました。明治という時代が他の国にも例を見ない特殊なもので、現時代(大正時代)においてこれまでのやり方で政治をやっていくことは適当でないという考えには納得させられました。
本はそれぞれの章ごとに内容が変わるものの、筆者の考えが貫徹されていることから、全体を通して非常に分かりやすい内容でした。後半部分に前半部分で用いた考え方・理論が繰り返し使われていることがそのように感じさせているのではないかと推測しています。
さいごに
もちろん末広さんの考えの中にも廃れてしまったもの、今の人々にとってみれば当たり前となってしまったものがいくつもあります。
今でも使えるな、と思う部分だけを拾っていくのがこのような古い時代の本を読むときのコツなのでしょう。
それでは。
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