『オーウェル評論集』を読んで(その1)
GWに入りかけ、今すぐにするべきことがほとんど無いので、読書モードに入ろうかと思います。
今日からは少しずつ今月アマゾンでポチった『オーウェル評論集』(岩波書店)のいくつかの作品の概要と感想を書いていこうと思います。
作者のG・オーウェルの作品は結構政治色があるものが多く、法学を学ぶ人も参考になるかもしれません。
絞首刑(A Hanging, 1931)
ビルマの収容所で「わたし」が他の刑務官達と一緒にとあるビルマ(ミャンマー)人の絞首刑に参加します。おそらく主人公の「わたし」は英国からの人物なのでしょう。この死刑囚の外見の相違に色々気がついています。
ですが、絞首台に連れて行く最中、彼は囚人の、ある行動一つでその人は自分たちと何ら代わらない一人の人間なのだと気がつきました。
そして、その人が処刑されていくのを見る「わたし」。「わたし」と何ら変わらない一人の人間が無惨にも殺されていく様子が読んでいるこちらにも絞首刑の生々しさをどことなく伝わらせてきます。
象を撃つ (Shooting an Elephant, 1936)
ビルマの村で象が暴れているという話を聞きつけた「わたし」。ライフルを手に行ってみると、そこにはおとなしそうな象がむしゃむしゃと草を食べているだけだった。これなら殺す必要はないと感じた「わたし」。しかし、自分の背後には何千人ものビルマ人が象を撃ち殺すショーを今か今かと待ち望んでいるのでした。
この話はものすごく戦争へと突き動かされる全体主義国家の政治リーダーの思いを連想させる短編でした。殺したくなくても周囲の大勢の人間がそれを望んでいる、あるいは銃を持っているのだからそれを使わなければならない、もし象を殺さずにとぼとぼ帰ってきたら自分が植民地の人間に嘲られる。このように全体主義のリーダーは国民のある種不可逆的なまなざしを受けなければならないのでしょう。
要するに、この話はいかに大勢の、統一的な思考を持った人間によって国家が誤った方向へと進むのかというのを端的に示した一例ではないでしょうか。
さいごに
GWが9連休になることを期待していましたが、明日と明後日は何故か授業があります。
一体何故だ。。。
それでは。
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