村上陽一郎『科学の現在を問う』を読んで
今日読み終えた本は『科学の現在を問う』という本(講談社現代新書)。
この本が書かれたのは2000年で、一部の章は参考にならない情報も含まれていたが、それでも参考になる情報がないわけではなかった。(科学の進歩ってすごい。)
中身について
とにかく論理構成がしっかりなされているため、スラスラと読むことができる。
- 筆者は19世紀の「科学」や「科学者」の概念の誕生から現在までにそれらがどう変遷してきたのかを考察している。
- 科学という言葉が生まれたすぐの時代、科学は他の学問領域(例えば哲学や神学、法学)などと比べて劣った地域にあった。これは社会とあまりにもつながりが少なかったことが由来。
- しかし、産業革命が起こると、科学が産業とつながり始め、産業を発展させた。
- このように科学は産業とつながり始めると、次第に国のほうも科学の研究成果を生ませるような取り組みを始める。
- なお、このように科学が国と徐々につながりを持つことで、科学研究の発展は戦争に勝つための方法として見られるようになってきた。
- 例えば原子核研究の研究から核兵器を作るなど
- 戦争という残虐性をもつものとつながってしまったことで、科学は非倫理的な研究も行うようになってきてしまった。
このように、科学は徐々に社会と関わりを持つようになってきたことで、科学にも一種の社会的責任が問われるようになってきているというのがこの本の一つの趣旨。それ以外にも、
- 科学研究ではどのような倫理規定が設けられているのか(『科学者を目指す君たちへ』)
- 医療と現代科学技術の関わり(臓器移植、クローン人間、ES細胞)
- 科学技術とそこにおける安全について(高速増殖炉もんじゅ)
- 日本での科学技術の特徴(工学>理学という特徴)
結論:理系の人向け。この作者の他の本を読むと良い
100点中70点というところ。やはり科学という分野であるせいか、情報がいささか古いなと感じる部分もあり、この著者の書いた本であれば他のものでも良いかと思った。
というわけで、今日はこの辺で。
それでは。
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