おりじゅのブログ

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小林康夫・船曳 建夫 『知の技法』を読んで

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3ヶ月ほど前に『「知の技法」入門』という本を読んでいたことを思い出したので、オリジナルテクストである『知の技法』を読んでみることにしました。この本は今から約25年前に東大の教養学部で使用されていた教科書の1つです。

知の技法: 東京大学教養学部「基礎演習」テキスト

知の技法: 東京大学教養学部「基礎演習」テキスト

 

 

表紙はかなりシンプルでした。

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第1部については読み物としては面白みに欠け、第3部については今ではほとんど当たり前となりつつある(一部はガラパゴス化している)発表技術が紹介されているので、この本のエッセンスは第2部にあると言っていいでしょう。文化人類学統計学英米文学といった各学問分野の学者たちが、各々の学問分野の面白さを2,30ページで伝えてくれます。

 

個人的には第2章の2番目と3番目の内容が興味深かったです。2番目の史料というチャプターでは日本の大学が半ば就職予備校化したのかヒントを与えてくれますし、3番目のアンケートというチャプターでは今の九州大学で実施されているグループ学習の授業に類似した授業を30年前の東大が実践していたことがうかがえます。それ以外にも、関係というチャプターでは世界/地域をどのように区切ってその世界を認識するかということが論じられており、第2章は各先生の研究の独自性が分かる部分でした。

 

この本を最後まで読んで気になったことは、特定の地域における文化の研究や、国際関係論について研究されている先生方がかなり多かったということです。例えば現在の僕の大学では文化人類学や文化に関連する講義はもはや数ある講義の1つに過ぎないような立場になっています。この教科書が文系向けだとはいえ、学問分野の栄枯盛衰を感じる部分でした。

 

さいごに

知の~シリーズはどうやら他に3冊ほどあるので時間があるときに手を出してみようと思います。

 

それでは。