マックス・ウェーバー 『職業としての学問』を読んで。
今日読んだ本は『職業としての学問』(岩波文庫)という本。
岩波新書にはよくお世話になっていますが、岩波文庫を読んだのは『オーウェル評論集』以来になりますね。
- 作者: マックスウェーバー,Max Weber,尾高邦雄
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1980/11
- メディア: 文庫
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前置き
この本は岩波文庫の中でもトップクラスに薄い本です。解説、注釈を入れても100ページに達しないくらいです。それに本の内容としては、作者マックス・ウェーバー氏の大学での講演の原稿なので、学術論文ほどハードルの高い内容にも聞こえません。実際の中身はどうだったのでしょうか?
感想
ドイツ語からの翻訳文とはいえ、ここまで理解が難しかったスピーチの原稿はこれまで見たことがありませんでした。主語と述語の対応、文と文のつながりを意識しながら読んだら何気に結構時間がかかりました。
この本はテーマを学問全般に広げており、学問をする人のみならず学問を教授する人も(大学教授などが例)話の対象にしていました。主な本のポイントとしては、研究者になるための事情、学問をする上での心構え、そして学問を教える上での心構えでしょうか。
この本で参考になりそうなポイントは一番最初のを除いた2つのポイントでしょう。彼の主張の中で最も印象深かったのが、学生は先生(大学教授)から知識や事実からえた分析以外のことを獲得しようとしてはならないという部分です。(言い換えれば、教師に指導者のような姿を持ってはいけないと言うことです。あらすじに書いてある表現を使えばですが。)彼の言い分は、3つめのポイントである教授側としての心構えを考えれば理解することができます。3つめのポイントでは、教授は学生に知識や研究を促すエネルギーを与えるのが役目であり、決して講義で自分の政治思想や信条を話したりほのめかしたりしてはならないとしています。
確かに意識的かどうかはわかりませんが、僕の大学の法学部の先生の中でも3つめのポイントを重視されている先生方はおられました。この本を読んで初めてその先生方が慎重に言葉を選んで講義をしているのだなということが理解できた気がします。後は、2つめのポイントに自分がどれだけ意識的になれるかが課題ですね。先生の名前や実績にとらわれることなく、ドライに授業を受けていく態度が必要になってきますね。
さいごに
いかんせん100年ほど前に書かれた本である以上、当然日本が登場することはなく、アメリカとドイツの研究環境も異なる以上両者の比較もこの作品のみでは不可能です。ですが、それ以外の、年代を超えた学びの姿勢をこの本からは学び取れたと思っているので、今回はこれで良しとします。この作者はこれに類似したタイトルの本をもう1冊出しているので近々それを読んでみようと思います。
それでは。
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