おりじゅのブログ

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中根千枝 『タテ社会の人間関係』を読んで

最近僕は図書館によく行くのだけれども、本を読み切るというよりかはむしろいくつかの本をつまみ食いするように読んでいて、いわゆる読書という読書ができていない。

 

ということで、たまには本を1冊読み切ろうと思い、今日ようやく読み切った本がこちら。

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中根千枝 著『タテ社会の人間関係』(講談社現代新書)という本。ジャンルはあくまで社会人類学で、主なトピックは日本の社会構造という、お堅い印象な一冊なのだが内容は結構理解しやすい。なお、この本の中の社会構造とは、人と人との付き合いや人と集団との関わりを指すものと考えてもらえるとありがたい。特段日本のライフスタイルや独特の慣習について考察を行う書籍ではない。時代を経ても変わらないものを筆者は考察している。

本の内容

 まず冒頭で、人々はどのような要因でまとまろうとするのか。筆者はその要因として「場」と「資格」という2種類を主張している。

 続いて、日本の集団構造と西洋の集団構造が比較され、それぞれ「タテ」と「ヨコ」というように定義されている。もちろん日本だけが、「タテ」の構造を持っているわけではないのだが、どうやらとりわけこの国は目立って「タテ」の集団を作るようだ。

 そんな日本の集団の特徴はいくつかのメリット、デメリットを持っている。もちろん「ヨコ」の方にもデメリットはあるが、日本の集団により重点が置かれた解説を著者はしている。さすがにこれ以上は内容のネタバレになるのでこれ以上深くは書かないことにする。気になったら買うなり借りるなりしてほしい。

 さらに筆者はそれを踏まえた上で、時代を超えても変わることのないこの日本の「タテ」社会に私たちがどう立ち向かうべきなのか。特に「タテ」の上に立つリーダーに求められる人格が提示されている。

 

結論:文系の人になら誰にでもお勧めできる。あと理系の研究をしている人にも。

100点満点で言えば85点の内容は少なからずあった。

政治、企業、組合、研究団体。僕らは日本の様々な領域で筆者の述べる「タテ」社会をみることができる。その特色をあらかじめ知っておくことで、特に複雑な構造を持つ集団に身を置いたときに自分が組織を客観的に俯瞰することができるようになるかもしれない。あくまで教養の1冊に過ぎないが、読んでほしい本である。

 

タテ社会の人間関係 (講談社現代新書)

タテ社会の人間関係 (講談社現代新書)

 

 

それでは。

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