南野森 & 内山奈月『憲法主義』を読んで。
九州大学の法学部の教授がAKB48のメンバーの一人に、時に討論を交えながら憲法について講義をしていくというのがこの本の大まかな構成だった。なお、出版を行っている会社、本の登場人物、本の丸みのあるフォント等から察するに、この本は若い世代の人向けに書かれた本といえる。硬派な本では断じてない。
法学の学習を徐々に始めつつある自分には若干文体が簡単すぎる感覚は覚えたものの、内容自体は自分の大学で使用している教科書にも劣らない品質があった。一言で言えば専門書では十数ページの解説をこの本は、200ページほどに引き延ばしたといったところだろう。
ちなみに本の構成は最初の章から順に、憲法とは何か、人権論、統治機構論、統治機構論、改憲論についてであった。
各章を読んで感じた点
- 憲法とは何かについては他の入門書に目を通していたこともあって、特段感動を覚えなかった。
- 次の人権論は自分の憲法における人権の知識が体系的に集約されていくような感じがした。結構丁寧な説明がなされていると感じた。
- 統治機構論の章では特に今の日本の選挙制度の問題点や違憲審査制、そして国民審査が何故必要なのかという部分が印象に残った。ここからはまだ学べることがあった。(とくに選挙制度が民主主義の要になるという指摘は的確でうまい。)
- 最後の章は特に最近少し話題に上る改憲論だが、学者達の9条の解釈の手法を自分がまだよく知らないことに気づかされた。9条が改憲のキーになることはほぼ間違いないのでここは読んでおいて正解だった。(あと、集団的自衛権の議論については、この本はまだ審議中に書かれたこともあってあまり参考にはならなかった。解釈改憲が立憲主義において良くないことだという認識を持っておけばよい。)
結論
専門書をよんで、つまづいた時に戻ってくる本というのが、この本を読んで感じた僕の印象。100点満点で言うならば、85点というところでしょうか。
それでは今日はこの辺で。
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