中江兆民 『三酔人経綸問答』を読んで
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部活の強化連が始まる前に読んでおいた本を紹介させていただきます。読んだ本は『三酔人経綸問答』(岩波文庫)という本です。
明治時代に書かれた本といえど、文章自体は現代語訳がついているので大変読みやすかったですね。ブランデーを飲みながら登場人物の三人(洋学紳士、豪傑君、南海先生)が政治について語り合うという舞台設定も非常に親しみやすいものとなっていました。
話の構成は洋学紳士と豪傑君がそれぞれ日本の今後について自らの考えを語り合い(軍備、政治体制、いかに文明国に発展するのか)、最後に2人の意見に対して南海先生が批評を加えるというものです。
洋学紳士と豪傑君の話それぞれに興味深い話が含まれていて、洋学紳士の話は昭和初期のマルクス主義者の主張に相通ずる部分が、豪傑君の話は後に生じた世界大戦を予期していたかのような部分がありました。筆者の先見性に脱帽ですね。とはいえ、小国は軍備を全て捨て去ったり、あるいは対照的に資源豊富な弱小国を侵略すべきであるという、現在では到底受け入れられそうにない話も浮上していたので、著者の全ての話を鵜呑みにするのは良くないでしょう・・・。
さいごに
明治時代の本であると考えればこの書籍のクオリティの高さにきっと驚くはずです(+現代語訳のわかりやすさにも)。
それでは。